攻殻機動隊3DとSFと現実と

攻殻機動隊3D観てきました。
以下、ストーリーのネタバレはないけどギミックに関して言及あり。
前にトロン:レガシーを観たときはCGだけの描写は3Dがすごく映えてたけど、実写と合成すると違和感が出ていたので、攻殻はちゃんと3D使えるんだろうか・・・と期待半分、怖さ半分。
が、最初数カットでこれは予想以上にすごいと確信。アニメだからか3Dにしても背景と人物でずれが生じるようなことはないし、なにより最初のシーンの、空港の電光掲示板が文字を表示を切り替えるところで文字が浮き出るようにしている演出を見て、これは本気だと思った。うまくサイバー感を出している。
実際ほとんどのシーンで3Dを使っているにも関わらず、違和感を覚えるようなシーンはほとんど無く、純粋に「奥行きのあるアニメ」を楽しめる。やっぱり実写よりアニメの方が向いてるっぽい。
そして大本命、電脳の3D描写。ウィンドウの円盤が自分の横に、斜めになって配置されている様子(三面鏡のような配置)が奥行きまで含めて再現されていて、迫力のリアリティ。この表現、よく考えると単なるSFに留まらず、もしもこのような技術が実用化されれば全く同じ画面が自分の目前に展開されるわけで、リアリティを超えて本当のリアルでもある。本物を映画で出してるわけだから、当然臨場感があるわけです。

で、映画を観終わったあと、今度は渋谷パルコでやってる攻殻機動隊S.A.C.ショップに移動。目的は電脳空間体験という出し物。
技術的にはKinect+OpenNIでボーン認識して、体の動きに合わせて3D空間を前後移動、左右回転、視点の上下ができるようになっているもの。この空間でタチコマと鬼ごっこするゲームができる。
これはこれで面白かった。確かにこういうこともできるよね、という。ただ同時に、これが今の技術の限界なのかというがっかり感もある。映画で感じたものより圧倒的にリアリティが薄い(もちろん、従来のコントローラーで操作するようなUIと比べれば格段に上だけど)。最先端の技術ではもっと先に進んでいるんだろうけど、普通に見えて使える範囲ではまだこの程度なのか、という感じ。

今回この二つを体感して思ったのは、SFの世界を「見る」技術は進歩しているけど、実際に「使える」ようにする技術はまだまだ発展途上だということ。SFが実現するとどういう風になるのかを画像や映像として切り取ってくることはできるけど、現実と融合させるのはまだ遠い。
自分が生きている間には、攻殻機動隊でSFとして描かれている技術の一部分でも実現して欲しいし、願わくば自分がそれを実現したい。